「一人じゃない」



本当はそのまま抱き竦めてしまいたかった。



だけど花音や大和のいる手前、拒まれるのは端から分かっていたし…


だからこの事だけは、美桜に俺が伝えたかった本心。



「美桜は…一人じゃない。俺らが居るだろ?」



口下手な俺は、こういうぶっきら棒な言い方しか出来ず…


正直伝わってくれるか不安だった。



けど…



「ありがとう…みんな大好き!」



そんな不安を吹き飛ばすような笑顔。


目を細めて微笑む美桜に、呆気に取られてしまった。



普段の明るい笑顔と違って…


儚げな、何処か惹き付けられる表情で。



心臓がドキドキ…よりもバクバクと激しくなるのが分かった。