さっきまで花音たちと一緒に喋っていたはずなのに…


何でか懐かしい気がして…



これで、この状況からも開放される。


そう一筋の光が見えた瞬間、




「なんで……言うこと、聞かないんだ…?」



今まで聞いたことのないような低音の松田くんの声。


目を見開きながら私を睨み付け、


手に持っているはさみの刃先はこっちを向いている。



さ、刺される…っ!



「た……すっ……」



助けを呼ぼうにも全力出しても蚊の鳴くようなのしか出ず…



「花音行っちまったけど…
俺の方が速いし、ダッシュで鍵取りに行って戻ってくるから…!
ちょっとそこで待ってて、な?」



非常事態を知らない大和が、誰かに声を掛けている。


いや、誰かじゃないか…


すぐ近く、


ドアの前に立ってるのは、きっと……