「俺自身、少し前まで気付いてなかった事だけど…
俺にとって…大事だって、思える奴が居てよ」


「え……、それって…」



思考が一旦フリーズしかける。



直人にとっての…大事な人?


長年好きだった花音よりも?


あの花音よりも??


その子の方が…好き、になったって意味?



そんなに、そんなに強く思ってる子がいたなんて…



だから最近直人が花音に釘付けにならなくなったんだ。


何を考えてるのか読めなくなったのもそのせいかもしれない…



話す直人の優しい眼差しにズキズキと胸が痛くなる。




『いつも誰かの一番にはなれないんだね?


今も、昔も』



直人の今の気持ちを明かされて、


松田くんの言葉が、嫌な位頭の中で繰り返された。