もう訳が分からなくて、
意味も分からなくて、
私はただ名前を呼ぶことしか出来なかった。
「ごめん」
それだけ言うと、直人は上着を掴んで家から出ていった。
少し向こうからドアの閉まる音が聞こえる。
ごめん…
ごめんって、何?
放心状態で動けずにベッドにボーッと座り込む。
ちょっとしてから、
直人が手首を処置するあれやこれやを持ってきてくれたんだけど…
その時目は合わせてくれぬまま。
聞きたいことは山ほどあった。
でも臆病な私は聞けなくて…
「それじゃ」
愛想なく去っていく背中を呆然と見送っていた。
そしてその日は、中々寝付くことが出来ず悶々とした夜を過ごすことになった。

