「俺さ、正直婚約なんて誰としたっていいと思ってたんだよね」
王子らしくない、くだけた口調。
白い衣装を身に纏った私のお相手。
ここまで言えばもう誰だか分かると思うけど、投票で見事選ばれ一位になったのは藤堂直人その人である。
姫と王子様っぽくない、普段と変わらないような会話を繰り広げる私たち。
が…
私の心中は穏やかではない。
顔を近付けるだけとはいえ、キスシーンがあるから!
ラストシーンと言えどそんなに長くはない。
王子が姫に想いを伝え、その後各々違ったアクションを起こす…それだけ。
だから目と鼻の先、すぐにそこへぶち当たってしまう訳で…
『こっち集中しろよ』
前の予行演習で直人に言われた一言。
あの時のことを思い出してはドキドキして…
今は本番で。
余計なことを考えてる場合じゃないっていうのに。
これは緊張から?
もう…頭がこんがらがりそう!

