「それは裏手に運んで。この背景はそこね」
一度幕が閉じられ、ラストシーンの準備で舞台上は慌ただしい。
右へ左へ。
行き交う人の足音が激しいにも関わらず観客の声はそれをも上回っていた。
ラストシーン……
この劇にとって一番の見せ場。
たくさんの音や声が飛び交う中、開始が近づくに連れて私のドキドキは大きくなって…
台詞噛んじゃったりしないかな~…?
あんなに練習したんだし失敗ナシで終わりたい!
「美桜姫!」
「ほわっ!」
後ろから両肩をガッと掴まれる。
こういう事する子は私の知る中じゃ一人しかいない!
「脅かさないでよー、花音」
「えへへ~!緊張でガッチガチの体をほぐしてあげようと思ってね?」
振り向くとそこには案の定花音が…
普段通りの眩しい笑顔で立っていた。
あーもう、心臓止まるかと思った!
でも……ちょっと気持ちが楽になったかも…

