へこんでる時間さえも与えられないまま、私は羽山先輩と舞台の中央へ。
花音は強いなぁ…
私なんてあの時、ショックで逃げ出しちゃったのに…
周りに悟られないように明るく振る舞ってるなんて。
「はぁ…」
「ん?緊張してる?」
「いえ…」
気付けばため息が漏れていた。
今日は予行だからしっかりしないとダメなのに…
さっきから気をとられ過ぎだぞ、眞中美桜!
このシーンと直人との場面で終わりなんだからちゃんとしないと!
「初めは自分の私利私欲の為に貴女に近付きました……でも、今ここにあるのは本当の気持ちだけです」
「…気付いていました。当初の貴方の目的も…今想ってくれていることも…」
「愛しています。名誉や地位などどうでもいい程に…」
一頻りの台詞も終わり、いよいよクライマックス。
会長がどんどん私の方へ近付いてくる…
会長とのラストは確か……
『頬に唇を寄せる』
だったよね?

