あ……ダメダメ!
集中しないといけないんだから!
私の焦る気持ちなんてお構いなしに、照明が落とされて幕が上がっていく…
私は気を紛らわすように暗闇の中で軽く頭(かぶり)を振った。
「あぁ、姫……まるで夢のようです。よもや貴女と想いが通じ合える日が来るとは…」
「えぇ……私も、同じ気持ちです…」
見つめあう姫と王子……
基、私と大和。
前までは台詞をよく噛んでたいたのに…
今じゃそんな面影は全然ないなぁ。
見た目は完璧に王子様だもん。
体育館中の女子の視線が大和に集まってんじゃないの?
それぐらいに視られているのが肌に伝わってくる。
きっとこの視線の中には花音のものもある、よね…
それを思うとズキズキと胸が痛みを持ちはじめる。
だって、このシーンには……
そんな事を思ってるのもつかの間、私の体は手首を引かれぐらりと前へと傾いた。

