「残りの場面開始しまーす!」
その声を合図に劇が始まる。
再開初っぱなから私の出る幕だ。
次にやるのは執事のアイラに姫が自分の気持ちを伝えるシーン…
姫は三人のことを悩んだ末に、自分の想いに気付くんだよね。
想い人…好きな人、っかぁ……
「あのね…私、これだけは真っ先にアイラに言っておきたくて」
「何でしょう?お嬢様の発言には度肝を抜かされる事が多いのですがね…」
台詞の意味を考えながら言葉を出していく。
打ち明けるのって容易に出来るものじゃないもんね…
だから、そういうのを踏まえながら、ひとつひとつ。
柔らかな照明が私とアイラ役の先輩を照らす。
笑顔でちくちくと棘が刺さることを言われる。
少し毒舌というのがアイラのキャラクターだ。
役をしている先輩は会長と同じく前の年も出ていて、演技も様になっている。
上手ゆえに先輩のペースに流されそうになっちゃうんだよなぁ…
気をつけなきゃ!