「その様子だといるみたいね?そっかそっか」


「それは…」



何で笹沼先輩嬉しそうなの?


っというか、どうしてすぐ否定しないんだ自分っ!


坂口先生に振られてから好きな人も出来てないっていうのに…



肯定も否定も出来ず、私はただただその場で立ち尽くす。



そんな私のことを知ってか知らずか…笹沼先輩はさらに言葉を続けた。



「次に台詞を言う時、その人のことを思い浮かべてみて?」


「思い浮かべる…」


「そう。素直になれなくて苦しい気持ち、ドキドキして緊張しちゃうこととか…そんな感情を台詞にのせてみるの。
…ちょっと難しいかな?」


「…………」



いやいや、ちょっとどころか難しすぎますって!


感情を台詞にのせる…?
もう何が何やらさっぱり!



結局どう答えたらいいのか悩んでるうちに休憩時間は終わってしまった。



劇は終盤を向かえ、あとは少しの場面を残すのみ…