*直人side


「それじゃ、失礼していいですか?」


「おぉ。放課後まですまんな」



高校も二年になって間もない頃。


俺は担任に頼まれて違うクラスの補習の手伝いをしていた。


本当は面倒だしやりたかないんだけど…
内申に少しは色付けてくれるってんで仕方なく。





「お前…っ、美桜のことが好きだ」



帰る為に廊下を歩いていると、自分の組である教室から声が聞こえた。


『美桜』といえば眞中美桜しか思い当たる人物が居ない。



やれやれ、また眞中さんですか?
高校に入ってから益々おモテになるようで…


それなのにあいつときたら未だに気付きもしないし。


しかし…さっきの声ってもしかして……



無粋ながらも教室の中をチラリと見やる。



案の定そこには美桜と…





大和がいた。