熱っぽい視線で坂口とかいう奴を見る美桜。


その眼差しに、その顔つきに、沸き上がってくるどす黒い感情。


けれど、同時に嫌悪感をも抱いた。



だってそうだろ?
俺の中には花音がいる。


俺が好きなのは…花音だ。



だから俺は…俺だけは美桜にこんな気持ちを持っちゃならない。




芽生えそうな想いに蓋をする。



蓋をした………はずだった。



閉じ込めてしまえばそのまま忘れてしまうことは多々ある。


だが、その蓋が外れてしまう事も…また、よくある話だ。



外れるタイミングなんていくらだってあった。



美桜が言い寄られている時。


坂口と嬉しそうに喋ってる時。



でも一番のきっかけは……





大和の告白、だったんだろうな。