「今日からこのクラスでお世話になります。眞中美桜です」



それは、新学期初日のことだった。


転校生としてやって来た美桜に、クラスは騒然となっていた。



整った顔立ちにスラッとした容姿…



長い黒髪がその存在感を際立たせていた。


俗にいう『美少女』とは、こういう奴のことを言うんだろう。



「まだ引っ越してきたばかりで右も左も分かりませんが…仲良くしてくれたら嬉しいです!」



その凛とした姿とは相反して、あいつは人懐っこい笑顔を振り撒いた。


この瞬間…


何人の野郎が恋心を持っていかれたことか。


例に漏れず、大和もその一人だった訳だが…






「美桜ちゃーん!おはよ~」


「おはよ、眞中」


「おはよー!みんな」



転校してきて数週間…


美桜は驚くべき早さでクラス…そして学年に溶け込んだ。