「来週から台本なしになるんだよね?書かれてるの言うのだけでもいっぱいいっぱいだってのに…」
「うんうん。ホントそれ」
前を歩く二人の背中から哀愁が漂っている。
この劇のキャストは強制参加。
選ばれた人は絶対に棄権できないからキツイことこの上ない。
出来るなら四人が四人とも拒否してるだろうし…
「あーぁ、その分美桜と直人はいいよねぇ…暗唱とか得意じゃん?」
「うーん…暗唱は、ね?」
短期間での暗記は私の専売特許。
実際台本の台詞はほぼほぼコンプリート済みだ。
ただ、重要なのはそこじゃない。
問題はこれが劇だということ。
無機質な紙の上でする単純なものとは、訳が違うから…
そう…一番大事なのは……
「…美桜?」
…あっ。
考えすぎて自分の世界に入り込んじゃってた!

