「まぁ…付き合えないこと位、大和も分かってただろうけど…」


「え?」



言葉に添えて意味ありげな直人の表情…



付き合えないって、分かってた?
でも一体どうして…



「それってどういう…」



そこから先は喋ることが出来なかった。
何しろ学校に向かう十字路で、花音と大和に、出会したから…



「おはよ!美桜」


「うっす…」


「おい、花音。お前俺には挨拶なしか」


「あれ?直人も居たのかー。これは失敬失敬」



そうは言いながらも、花音の顔はまるで悪戯っ子のよう。
こんな感じの掛け合いを花音と直人はいつもしている。



普段と変わらないように見える光景。
違うのは、私に対しての大和の態度…


今もこっちへは目を向けてこない。



こういう時、どういう態度取ればいいのか分かんないよ…



「うん、…おはよう」



私は誰とも視線を交えることなく、俯き気味に挨拶を返した。