何だ、この余裕な態度は…!


そんな冷静にされると…緊張したのは私だけだって言われてるようで。


バカ、みたいじゃん…



直人の数歩後ろを歩きながら、私は収まらない胸のドキドキを落ち着かせようと必死。


今までだって顔が近かった時もあったし、この前のように抱きしめ合った時も何も感じなかった…


それなのに…今日に限ってどうして?



「おい」



ビクッーー


またも立ち止まった直人に声を掛けられる。


それだけのことに私の体は過剰に反応した。



「な、なに?」


「…さっきみたいな目に遭いたくなかったら、危機感をもて」



顔を横に向けてはいるものの、その表情はやっぱり伺い知ることは出来なくて…



ねぇ、直人は今…どんな顔してるの?



「分かったな」