「私のこと好きでもないくせに

簡単な気持ちでキスなんかしないで」



あの人や沢村くんにとって

キスは簡単にできちゃうこと


そこには何の感情もない

ただしたいからする


きっとそれだけのことなんだよ





「……好きだよ」


「えっ?」



沢村くんの大きな手が

そっと私の頬に触れて



「俺は本当に好きな奴にしかキスしない」


「嘘つかないで……」


「ねぇ、愛美ちゃん」


「………?」



「俺にも名前書いてよ

俺は愛美ちゃんだけの物、って」



そこにはもう

いつもの沢村くんはいなかった


真っ直ぐに私を見据える、綺麗な瞳

私の頬に触れる、大きくて温かい手


私、沢村くんのこと……