ーキャラ紹介ー

柊 和寧(16)

ごく普通とは言いがたい家庭に生まれたごく普通の女子高生。
勉強、○。運動、○。性格、○。容姿、○。
何処にでもいそうで何処にもいない物事を達観視する絵に描いたような普通の人間である。
幼い頃からずっと一緒にいた幼馴染み四人組の一人。密かに瑠樹のことを好いている。
無気力系女子。
小さい頃はもっと活発だったらしいが...?

麻生 勇夜(16)

幼馴染み四人組の一人で、明るく物怖じしない性格。
成績はいまいちだが、その明るい性格と顔の良さが相まって女子からも男子からも人気がある。所謂ムードメーカー役。
昔から一途に和寧を想っているが、本人は鈍感すぎて気づいていない。
天才陸上選手と、世界的シンガーの息子。
運動神経抜群で、多々助っ人に呼ばれている。
仔犬系男子。


藤條院 舞姫(15)

幼馴染み四人組の一人で、優しく、穏やかな性格。濃紺の長髪を垂れ流しにしている。『まいひめ』と書いて『まき』と読む。
成績優秀、品行方正、スポーツ万能な才色兼備。礼儀正しく、誰にでも敬語。
先生からの人望も厚く、陰では『舞姫様』と呼ばれているらしいが、実は毒舌である。
大抵無気力な和寧に対し、根気よく付き合っている。本人曰く「少し気だるそうなところが良い」らしい。
家は由緒ある神社で、普段は巫女の格好をしている。祭事には『舞姫』となり舞を舞う。
腹黒系女子。

蘭 瑠樹(16)

苗字は『あららぎ』と読む。
長身長髪の容姿端麗な美少年。
眉目秀麗で、紫がかった黒く長い髪を後ろで1つに束ねている。少しつり目。
家が有名な剣術道場だからか常に帯刀している。勿論真剣なのが洒落にならない。
無口で無愛想なのが特徴。一見クールだが幼馴染みに手を出されるとキレるところも。特に舞姫に何かあると普段の冷静さを失う。
昔彼女に何かあったらしく、それが舞姫に対して過保護になる原因だとか...。
見た目とは裏腹に歌が上手い。
クールな一匹狼系男子。



これは一度中学で別れ、高校でまた巡りあった少年少女達の物語ー。



~1章~

肌をさらった淡い風。立ち揺らめく陽炎に嫌悪を覚えたのはいつの日かー。

「おねぃちゃん、起きてっ、起きてっ」

夢の世界から引き戻された私はむくりと体を起こす。声のした方へ視線を向けると、そこでは妹が一生懸命私の服を引っ張っていた。

「姉上、起きないと遅刻ですよ!」

「愛雪、雪兎..って遅刻!?」

急いで制服に身を通す私を見て雪兎(ゆきと)は呆れた感じでため息をつき、愛雪(まゆき)は楽しそうに微笑んでいる。反応が全然違うのに
これで双子だっていうのだから世も末だね。ーって、学校!!

「父上!行って参ります!」

襖越しに挨拶をして玄関へ向かうとそこで屈強な男供が待ち構えていたかのように中腰でいた。

「「「「「行ってらっしゃい!!!和寧お嬢さん!!」」」」」

「行ってきます...」

気迫負けしてしまう。だってこの家、任侠一家...つまりヤクザなのだから。朝の挨拶なんてしなくて良いって再三言っても聞き入れてくれないし...。

「お早うございます、お嬢さん。車でお送りしますよ!」

「白城さん...!うん。お願いします!」

彼は白城 真琴(しらき まこと)さん。 この家に支えている人では一番年が近くて、物腰が柔らかい好青年。いかにもな感じじゃなく、普通の優しい人。

「いえいえ。これくらい当然です」

朝から爽やかに微笑んでくれるのは、正直助かる。砂漠の中のオアシス?みたいな。

「ふぅ...」

「お疲れですか?」

ため息をついた私に白城さんはクスッと笑って尋ねてきた。私は窓越しの外を見ながら答える。

「そういうわけではありませんよ」

「なら、宜しゅうございますが」

常に笑みを絶やさない彼は幼馴染みのアイツを連想させる。バカみたいに笑って、バカみたいに騒いで...。

「懐かしいな...」

今度の呟きは白城さんにも聞こえないくらい小さく呟いた。

そして、移り変わる景色を見つめつつ、今日から通う『都立 夢阜高校』に想いを馳せたのだったー。