キーンコーンカーンコーン……


1時間目の終わりのチャイムが校内に響く


「大倉君…ありがと……。」


少し前まではすごく嫌だったはずの

大倉君への気持ちも

普通の友達みたいな感じがする。


「……もう大丈夫か…?」


「うん……泣いたらスッキリしたよ!」


「そっか、良かった。」


「じゃあ……教室戻ろっか!」


「おう。」


教室に戻ると、創太と黒石さんは一緒にいた。



“……気にしたって意味ない…”



自分に言い聞かせて


見てみぬふりをした。



「葵!今、大倉君と帰って来なかった?」


「うん、帰ってきたよ!」


「だ、大丈夫だったか?」


日向と里穂が驚いた目で見ている


「うん!前とは違う感じだった!」


「そっか、良かった……!」



2人はホッとした表情を浮かべた。




“創太と黒石さんが抱き締め合ってた”


なんて


2人に言ったら


2人の表情は曇ってしまいそうだから


耐えられないほど苦しい胸を 


おさえながら


笑顔を浮かべた。