「帰ろーぜー!」
日向の大きな声で、ハッと気がついた。
あっと言う間に
下校時間になっていた。
「日向、傘あるのか?」
創太が冷静に聞く。
「も、持ってねぇ!」
予想はしてたけど…
「う、ウチも無い……!」
続いて里穂。
「里穂も?気が合うなー、オレらー!」
と言って、のんきにハイタッチなんかしてる。
で、それにも顔を赤くする里穂。
良いこと思いついた~…!
そして、こっそり創太に話す。
創太もOKしてくれた。
「あ、傘2つあるから、一個貸すね!」
と、傘を差し出す。
「ありがとな!じゃ、創太と帰るわー」
…こっちの作戦はそうじゃなくて……。
「創太ぁー、忘れた人同士で帰ってもらわないと……ねぇー?」
「なぁー。」
2人で顔を見合わせる。
「えっ…!」
顔が一瞬で真っ赤に変わる。
「オレは……別にいいけど……、里穂がイヤだったら…。」
「イヤじゃないからね!」
真っ赤になりながらも必死に答える。
可愛い…。
「じゃ、そーゆー事だから!明日ね!」
「じゃーな、創太、葵ー!」
「じゃーなー、相合い傘してけよ!」
「あたりまえだろっ!」
え?
あたりまえ?
「あたりまえって、どういう意味?」
望んでたってこと?
言葉のアヤ?
「相合い傘でもしねーと、びしょ濡れになっちゃうから!」
あー…
言葉のアヤってやつか。
「じゃーね!また明日ね!」
そして、2人の後ろ姿を見ていた。

