「葵ー!日向ー!帰ろー!」
里穂はニコニコしながら教室に入ってくる
さっきの……
見てないよね……?
大丈夫かな……。
「いいけど、創太はいいのかよ?」
心臓が大きく揺れる
「あ、そうだね!創太もー!」
創太も一緒に帰るの?
「え……な、何で…?」
「思い出したからいいかなって……ダメだった?」
しゅんと寂しそうな顔をして私を見つめている里穂。
……かわええ。
「う、ううん!ダメじゃないよ!」
「じゃあ、創太呼んできて!待ってるからさ!」
え?
「え、私が呼んでくるの?!」
「だって両思いでしょ!いーじゃん!」
ニヤニヤと里穂は笑って言う
「……そうなんだろうけど………さぁ……。」
「じゃ!あとでねっ!」
ため息まじりに言う私を教室から引っ張り出した
「……行くしかないかぁ……。」
とぼとぼと屋上に向かう
まだ屋上にいるかな……?
ドアを開けると風に吹かれて舞っている桜の花びらが
創太の髪に引っかかっているのが見えた。

