「葵。」


ドキッ……


「えっ?何言ってんの?」


「これから葵って呼ぶから。」


「何で…?」


いきなり


“葵”


って呼ばないでよ……


ドキドキするじゃん……。


「なんとなく。って感じだな~」


なんとなくって……。


「え……でも……私……っ」


「お前に拒否権ないから。」


ドキッ……


もおおおおおおおお!


なんでよ……?


日向に何言われても


ドキドキなんかしなかったはずのに


なんで………?


どうしてこんなにドキドキしてんの……?


創太にしか、しなかったはずなのに……。


「葵さぁ……顔赤いけど?」


「あ、赤くなんかないしバカ!」


強くもなく、弱くもない拳で


恵の胸を殴る


「照れ隠しか?葵!」


「そ、そんなんじゃ……!」


拳をかわされて、体勢を崩す


ああ………。


創太ともこんな事あったな……。


もう……創太の事忘れたい……。



「葵?」



肩……支えられてる?



恵……。



「ご、ごめん……」



パッと体を離そうとする



ズキッ…



なに……こ………………れ……?



「まだ待って。」



もう一度体を引き寄せたのは恵。



「は、離して……」


私はとりあえずもがく。


ズキッ…


「足ひねっただろ?」


あ、これは……


足の痛みでしたか!


「ううん、大丈夫!歩ける……っ」


「バカ……!」


歩こうとした瞬間…


足にものすごい激痛が走る



「ほんっと葵ってバカだな!」



多分、恵は支えようとして


後ろから肩を抑えたんだろうけど


それが少し変わって


後ろから恵が抱き締めるようになって


私のドキドキを速くする


そして


私の足の痛みを忘れさせた