ピーンポーン……
インターホンが鳴る
でも、こんな涙でぐしゃぐしゃの顔と
真っ赤に腫れた目じゃ出ていけない。
「おーい、菜塚ー?オレ、恵だけど…」
……恵……。
でも、出る気にはなれない…。
「いねーのかよ?」
「……いるけど!何しに来たの……?」
「ばあちゃんからのお裾分け届けにきた」
「お、置いといて…ありがと……」
「外雨降ってるけど?」
雨?!
置いといたらびしょびしょだよね…?
「玄関に置いとく?」
玄関っていったら…
今私がいるんだけどね?!
「あ、いや、待って!」
玄関から逃げるかのように
リビングに走っていく
「入るけど、いい?」
「あ、うん」
何も言わないのもちょっと悪いから
顔だけ覗かせてみる。
ガチャと家に入ってくる
「いんじゃん。はい、これ。じゃ。」
アハハと笑って玄関に荷物を置いていった
袋の中にはタッパーに入った肉じゃがと
手紙が入っていた。

