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「大野?」



ハッとした時目の前にいたのは、1年の頃から同じクラスだった田中悟(Tanaka Satoru)。



特別仲が良かったってわけでもないけど



前のクラスの男子の中では話す方。



「あっ…ごめん。何?」



「いや、プリント。前から回ってきたからさ」



ありがとう、といって受け取ると、プリントには1年間の予定表が書いてあった。



「来月は文化祭か」



1年から仲良しの篠原真央(shinohara mao)が中休みの時に、私の所にやってきて呟いた。



「文化祭。ねぇ…」



去年の文化祭。



それはもう悲惨なものだった。



1年生は合唱コンクール、2年生は展示、3年生は模擬店だった。



その合唱コンクールで悲劇は起きた。



「指揮者は大野にしてもらいたいんだが、」



まだ友達なんていない中で、私は指揮者に選ばれてしまった。



空いた口が塞がらないとはこの事で、



断るのも面倒だしと思い、私は引き受けた。



結果は意外と好成績で幕を閉じた。



「今年は展示かぁ…」



「テーマはなんだろうね?」



「去年みたいに世界の国とかやだよ。(笑)」



テーマが決まっている文化祭ほど、面白くないものはないのだ。



だけど、それなりに楽しむ。それが私たち。



月日が流れるのは早く、いつの間にか文化祭も近づいてきた。




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