軽めのウォーミングアップを済ませると、エリックは私の剣が気になるみたい。

「少しだけでいいから持たせて!? って言うかよく見せてくれよ。」

子供のおねだりしてくるエリックは、なんかちょっと可愛い!!


『う~ん・・・じゃぁ、私と勝負をしてエリックが勝てたら触らせてあげる。』

私は意地悪くそう言うと、エリックは目を輝かせて意味不明な事を言ってくる。

「えっ 良いの!?」

『なんか勝つ気でいるみたいだけど、私こう見えても強いんだよ。

そんな簡単に勝たせるつもりはないから、本気を出してかかって来てね!!』

「あぁ、わかった。それじゃぁ行くぞ。」

エリックは、ハァっ!!と気合いを入れて打ち込んで来た。


意外と素直な性格をしているのか、真正面から攻めてくるエリックの剣筋はかなり良い。


『いいねぇ!!やっぱり男は強くなくっちゃね。』

「随分と上から目線な物言いだな、勝負はこれからだ!!」


軽い打ち合いが続く中、エリックは思うように技が決められなくて

イライラし始めたのか力任せで雑な動きになってきている。


「お前、本気出せよ!!避けてばっかりじゃ勝負になんないだろ。」

『集中力を途切れさせない事と、全力疾走し続ける事はどっちも本気って事なんじゃない?』

「はぁ?何を今更な事言ってんの?」

『私は充分、本気を出してるよ。

本気じゃなきゃ男子の力のある剣を打ち返したりできないし・・・』