私たちは学園の近くにあるクレープ屋さんに行くことにした。

クレープ屋さんには、私たちと同じことを考えている学園の生徒たちで、長蛇の列ができている。

順番を待ちながら私たちはいろんな話をする。

アンナとクレアはイースト地区の都市部からこの学園に来たらしい。

私はノース地区のド田舎の出身だ。

「ド田舎って、自分で言ってて悲しく為んない?なんか有名な所とか無いの?」

『う~ん、深淵の森?』

「っえ!?あそこって最北端の森だよね。寒そぉ~!!」

『知ってた?そうなんだよあの森の中に私の実家があるんだよ。』

「サラさん?深淵の森には人間は入れないはずですよね?」

『そうだねぇ、住んでるのは私だけだったなぁ。でもすぐ近くに村があってそこの学校に通ってたんだよ。』

「近くに村があるのはわかるよ。でも深淵の森は人間を嫌うから、森に迷わされて二度と森からは生きて出られないって聞いたよ?」

『それは森で悪さをすると精霊から嫌がらせをするんだよ。嫌がらせをしながら森から追い出すの。』

「精霊ですか?」

「精霊って伝説上の生き物なんじゃないの?」

『いるよぉ~。いる・いる!!
私の家族は精霊王に許可を貰ってあそこに住んでるんだもん。』

「精霊王・・・
なんか次元が違いすぎて頭がついて行けないんですけど・・・」

「サラさんって、すごい人だったんですね。」

『凄くないって、普通にいるんだってば!!』

アンナとクレアは遠い目で私を見つめてくる、そんな話をしていると私たちの順番がやっと来た。