「お主、お父さんとお母さんを困らせてやりたかったのではないのか」



竜宮仙人の声音が変わった。



「え?」



とその時、どこからともなく、大勢の天女たちが舞降りてきた。



「坊や、あんなに竜宮ランドに来たがってたじゃない」



「ずっとここにいたっていいのよ」



天女たちは甘い言葉を投げかけてきた。


僕は怖くなった。

竜宮仙人や天女たちは微笑んではいても、目は笑っていなかった。

お父さんやお母さんは怒っている時でも、こんな目をしたことはなかった。



「お主はもう帰れない。あっちの世界にはな」



竜宮仙人が冷たく言い放った。

天女たちがこちらを黙ってじっと見ている。



「お父さんとお母さんはえらく悲しむじゃろ。お主が望んだことだ」



もはや竜宮仙人はやさしいおじいさんではなかった。