洗い始めてから30分くらい
たったころ、
「 あと、一つです ! 」
嬉しそうに、ビーカーにはいった
透明な水をみながら
言った。
「 終わりましたっ! 」
元気よく言って、
ハンカチで手を拭く。
「 あっ、このハンカチ… 」
どうやら、先生は覚えててくれていたみたいで、
「 これ、俺が拾ったやつですね 笑 」
嬉しそうに ハンカチを指差して
私をみた。
「 そうです! あの時はありがとうございましたっ! 」
あの時、ちゃんと
言えなかったお礼をちゃんと顔をみて
言った。
そして、水道から離れて化学室のドア付近に移動すると
「 お疲れさまでした〜
ありがとうございますね!
手冷たくなっちゃいました…? 」
寒くて自分の手を摩る私をみて
先生が心配そうに言ってきた。
「 大丈夫ですよ! これくらい! 」
先生に心配してほしくないと思って
笑顔で返した。
「 いや、その顔は大丈夫じゃないね?笑 」
私の全てを見透かしたように、
にこっと笑って、
ポケットにはいっていた、カイロを
手渡してくれた。
そして、
ぎゅっと手を握って、
「 ほら、こんなに冷たくしちゃって、すみませんね…? 」
あまりにも自然にやる先生に
少しドキッとしてしまい、
握られた手をパッと離してしまった。
「 あっ、ごめんごめん 」
顔が赤くなったことを
少し察知して
謝ってきた。
不思議な空気が流れて
恥ずかしくなって、化学室をでようとした。
