窓から見える道路の向こう側で昼寝している猫が伸びをした。

窓際には陽だまりが出来ていた。

うちで一番いい部屋。
南側で、窓がふたつもあるお部屋。


そこは、お姉ちゃんの部屋だ。

私、こと小池亜美には姉がいた。


いた…そう、お姉ちゃんはもういないのだ。

小池彩。
お姉ちゃんは1年前、自殺した。


お姉ちゃんは頭が良くて優しくて、お父さんからもお母さんからも大事にされていた。

もちろん、私が両親と上手く行っていない訳じゃないけど、ちょっとだけお姉ちゃんの方を可愛いがっていた。

それがこの部屋の現れだと思う。
私のお部屋は西に窓がひとつ、あるだけ。


始めての子供は特別って言うから仕方ないと思っていたし、お姉ちゃんは優しかったから特に憎んだりしなかった。


お姉ちゃんを大好きだった。