safety place



 夢の終わりは物悲しい?

 だったら、私には必要ないかもしれない。

 高校生の時はそう考えた。物事に、あまり興味を持たない私だったから、それはそれで平気だった。だけど今ではもう、その考えも、小さくなってしまっている。


 夢は、いつか終わるのだ。

 だから、ここの幻もそのうち消えてしまうだろう。

 拓さんが、ある時からこなくなるかもしれない。

 私が、この部屋から出て行くかもしれない。

 連絡手段のない私たちには、この部屋しか繋がりがない。だけど、それだからこそ、幻みたいな世界へ入り込めるのだ。

 小さな、白い世界、セーフティプレイス。

 ここにくる時は、感情や理性は置いてきて。ただ一つになって、溶け合いましょう。


 雨は、まだやまない。


 裸のままで包まった毛布ごと、彼がゆっくりと撫でる。

「・・・おいで」


 私はまた、手をのばした。







「safety place」終わり。