式場に着くと、私たちの担当のウェディングプランナーの方が笑顔で出迎えてくれた。

「おはようございます。夕べはよく眠れましたか?」

私たちの荷物を持ちながら笑顔で優しく話しかけてくれ、緊張をほぐそうとしてくれてるのが分かる。

「はい、自分でもびっくりするくらい早く眠ってしまいました。」

プランナーの方はふふっと笑うと、新郎新婦の控え室へ案内してくれた。

「それでは、さっそく真奈美さんは準備を始めましょうか。お母様とお父様は別室でのお着替えと準備になりますので、ご案内致します。」

母と父はじゃあねと軽く手を振って別室へ向かった。新婦の控え室には、母と2人で選んだドレスが飾られていた。プランナーの方が戻ってくるまで私はずっとドレスを眺めていた。

婚姻届は一週間前に出したが、式を挙げてから一緒に住もうという話しだったのでもう名は変わっていたが、このドレスを眺めている時に、あぁ、私は結婚するんだなと、実感したような感じがする。

少しするとプランナーの方と着付け、メイク、髪のセットの方達が来て準備が始まった。


ドレスを着て髪のセットとメイクが終わろうとした頃、彼と彼の両親が到着した。

「和樹、遅いよ。」

私は彼の両親に会釈をしながら、着飾った自分が少し恥ずかしくて憎まれ口を叩いた。

「ごめんなさいね、真奈美ちゃん。お父さんが近所の挨拶廻りに時間かけてしまって遅くなっちゃった。それにしても...真奈美ちゃん綺麗ね。すごく似合うわ。」

綺麗だなんて言われる事が人生でなかった私は、嬉しいやら恥ずかしいやらで返事が出来ずただ首を振って否定するような仕草しか出来なかった。


「ま、それなりに似合ってるよ。」

私の憎まれ口に対して憎まれ口で返してきた和樹に、私は軽く肩を叩いた。

「ふふっ、それじゃあ私達も準備するから、和樹、あんたも早く準備しなさい。」

彼は着替えるだけだったのですぐ準備が終わり、親族がみんな集まり集合写真を撮った。

写真を撮り終わる頃に友人や会社の人達も集まりだし、あっという間に式が始まる時間になった。