朝ごはんを済ませ、早くに亡くしてしまったおばあちゃんとおじいちゃんの仏壇に手を合わせる。
「おばあちゃん、おじいちゃん、行ってきます。」
小学校に入る前に2人とも病気で亡くなってしまった。記憶は薄れてしまったが、優しく可愛がってくれた2人が私は大好きだった。兄達がかなりやんちゃな子供だったのに比べて、私はおばあちゃん達と家の中でおままごとや簡単なトランプなどをして遊んだ記憶がある。毎日、仏壇に手を合わせるのは、最初は母の真似をしていただけだったが、いつしか親や兄弟にも言えないような悩みを、仏壇の前に行き心の中で会話をするようになった。
話しが出来るわけではないのに背中を押してくれるような、そんな気持ちになるからだ。だが、それも今日まで。今までのように毎日手を合わせるのは難しくなるだろう。心の中で、時間がある時は必ず来るからねと約束し、私は家をあとにした。
式場に向かう車の中では、父と私は無言なのに対し、母は親戚達から来る電話に忙しそうに、嬉しそうに対応していた。
その母の声を聞きながら私は窓の外を眺めた。起きた時は雨がパラパラと降っていてどんよりしていたが、今は雨も上がり雲の切れ間から太陽の明かりが溢れていた。
「あ、虹が出来てる。」
私が小さくこぼした独り言に、父も小さく、うん、とつぶやいた。
「おばあちゃん、おじいちゃん、行ってきます。」
小学校に入る前に2人とも病気で亡くなってしまった。記憶は薄れてしまったが、優しく可愛がってくれた2人が私は大好きだった。兄達がかなりやんちゃな子供だったのに比べて、私はおばあちゃん達と家の中でおままごとや簡単なトランプなどをして遊んだ記憶がある。毎日、仏壇に手を合わせるのは、最初は母の真似をしていただけだったが、いつしか親や兄弟にも言えないような悩みを、仏壇の前に行き心の中で会話をするようになった。
話しが出来るわけではないのに背中を押してくれるような、そんな気持ちになるからだ。だが、それも今日まで。今までのように毎日手を合わせるのは難しくなるだろう。心の中で、時間がある時は必ず来るからねと約束し、私は家をあとにした。
式場に向かう車の中では、父と私は無言なのに対し、母は親戚達から来る電話に忙しそうに、嬉しそうに対応していた。
その母の声を聞きながら私は窓の外を眺めた。起きた時は雨がパラパラと降っていてどんよりしていたが、今は雨も上がり雲の切れ間から太陽の明かりが溢れていた。
「あ、虹が出来てる。」
私が小さくこぼした独り言に、父も小さく、うん、とつぶやいた。
