孤独な夫婦

私たちは重い気持ちのまま解散した。いつでも話し聞くからねと、優しく笑って雅美は帰った。話しを聞いてもらうとこんなに楽なんだって友達の優しさが身に沁みる。

家に帰ると、まだ4時だと言うのに玄関には和樹の靴がある。少し驚きながらも足早にリビングのドアを開けると、和樹がソファに座りながら水を飲んでいた。

「あれ!?おかえり。今日はもう終わり?」

「いや、外回りの途中。すぐ出るけど、お前今日休みだったなぁと思ってちょっと寄っただけ。」

「そうなんだ、ごめんね雅美と買い物してきた。コーヒー入れようか?」

「もう行くよ。今日はこのまま会社に戻れば終わりだと思うから、久しぶりに外食でもするか。」

「本当?うん!」

和樹は私が帰ってからすぐ出て行ってしまったが、すごく嬉しかった。仕事の途中に家に寄るなんて今までなかったのだ。トキメキが欲しいと雅美は嘆いていたが、今の私は心がドキドキしている。和樹に相変わらずドキドキしているのだ。ちょっとした事が嬉しい。だからこそ、寂しい。

私はいつも思い知らされる。断られて惨めな思いしたり、知らないところで女の子と2人で会ったりしていたり、悲しい事で涙を流すたびに、和樹の事が好きなんだと。私だけを見ていて欲しいという気持ちに。