孤独な夫婦

「雅美はさ、旦那の携帯見たことある?」

「んー、付き合ってるころは何回かあるけど、結婚してからはないかな。家でも職場でも一緒だからね。お互い、その辺の心配はないんじゃないかな。」


「私はね、付き合ってるころはなかったんだけど、セックスレスになってから一回だけ見ちゃったんだ。だってあの人、香水の匂い付けて帰ってきたんだもん。そしたらね、浮気かどうかは分からないけど、職場の女の子と2人で会ってるみたいなの。また、あの美味しいレストラン行こうね、だって。笑っちゃうよね。」


ご飯を食べ終わり、食後に頼んでいたアイスコーヒーの氷をストローで回しながら、私は話した。

美味しいレストラン?私が和樹とご飯に行く時はいつも居酒屋。お酒が好きなあの人に合わせて。代行のお金がもったいないからって、私は飲まないでソフトドリンク。居酒屋も楽しいし2人で外食するだけで私は嬉しかった。でも私が行った事がない美味しいレストランには、知らない女の子と行く。悔しいというか、何とも言えない気分になる。


「そっかぁ。浮気かどうかは分からないけど、マナは自分の気持ちを和樹くんに言ったことあるの?」

「あると言えばあるし、ないと言えばないかな。休みの日に一度、思いきって、寂しい、抱いて欲しいって伝えたら、少し考えてから、疲れてるから、って。休みの日も疲れてるから、そりゃ平日なんてもっと無理だよね。その言葉で、あぁ、私はもうこの人に付き合ってる時のように抱いてもらうことは無いんだなって悟ったよ。」

真っ昼間からどんな話ししてるんだって思われるかもしれないが、私はこの虚しい気持ちを誰かに話したかったのだ。この会話に答えなど出ないと分かっていても・・・。