孤独な夫婦

和樹の好きな、中華料理にしようと手作りの餃子やエビチリや中華サラダを用意して、お風呂を洗い、洗濯機を回し、ふぅと息をはいてプシュッとビールの缶を開けた。


テレビではお笑い番組、恋愛ドラマ、スポーツニュースなど色々やっているが、どれもCMに入るたびにチャンネルを変え、携帯をいじりながら流すように見ていた。


チラッと時計を見るともう22時を指していた。


「今日も残業かぁ・・・•。」


和樹の仕事は営業で、終わる時間がいつも不規則だ。定時で上がれる日もあれば、日付が変わってからの帰宅もある。休みは週休2日とはいうが休日出勤は当たり前、接待ゴルフなどもよくある。時間が不規則だから、私は正社員を辞め時間や休みの融通のきくパートを選んだ。


帰ってくる前にシャワー浴びてしまおうと思い、服を脱いでお湯を出した頃、玄関が開く音がした。


「ただいま。」

なんともタイミングが悪い。

「おかえりー。ごめん、すぐ出るから温め直すまでサラダでもつまんでて！」

物凄い早さで頭と体を洗い、髪も軽く拭いただけの状態で彼のご飯を温める。


「あ、残業で軽く食べて来たから、今日はサラダだけでいいよ。」

ビール片手に中華サラダを食べ、スポーツニュースを見ながらこちらを見もせず彼は言い放つ。

「そう。」


それならば、帰ってきてすぐ言ってくれればもっとゆっくりお風呂に入ったのに、と少し腹が立った。