夕方、
「ただいま」
自宅に戻ると母が
「友梨!…スーパー行くわよ!」
私の手を引く。
着替えも何もしないまま車に乗り込み、近所のスーパーへ。
今日の夕飯は餃子らしい。挽き肉をかってシソと梅を買ってさっぱりと。
お母さんと2人で餃子の皮を見てると。
『…琉くん!?』
お弁当コーナに佇む琉くんが。
生活感のない彼だからこそ、私にとっては衝撃的だった。
『王子様ってお弁当買うの…?』
そんな偏見を持ちながらもスルーしようとするとお母さんが
「友梨の学校の友達じゃない?」
声をかけた
私からすれば友達みたいな対等な存在なんかじゃありませんって言いたいけど…。
「友梨の母です~。同じ学校よね?」
琉くんがお母さんの図々しさに引いてるのか、それとも普通にびっくりしたのか、少しばかり驚いてた。
「はい。…一颯です」
ぺこりと会釈をした琉くん。
『お母さんすげぇぇぇえ!私まともに会話すら出来ないぞ』
そんなことを密かに思った。
