ふと目の前に人の姿がうつった。

誰なのだろう。
映像のように人の流れとは反対方向を歩く少女の姿はより一層目立つように見えた。

私は、目を疑った。
その姿は。その姿は。

紛れもなく、自分の姿だった。

人に見られないように。
前髪が目にかかる程伸びた黒髪を
靡かせて歩くのは。

先には、小さな男の子がいる。

その先に は小さな猫がいる。

少女は走っていた。
迷いの無い瞳を小さな男の子の方へ向けて。

そんな姿を私は瞬き一つせずに見ていた。

少女の体に大きな硝子が
突き刺さるまでの姿を。