しばらく、私たちは立ち尽くしていた。
「…ベシー様?大丈夫ですか?」
ルーサーが手をどけると、急に吐き気がしてきた。
まだ周りには影がいると言うのに…。
「すまない。…平気だ」
なんとか誤魔化して、もう一度態勢を立て直す。
「無理なさらないで下さい。ベシー様に何かあっては困ります…」
まただ。ルーサーはいつも私の事ばかり。
「…そんな事、言っている場合か!!」
つい、怒鳴ってしまった。
彼は眉間にしわを寄せ、悲しい表情をしている。
「…お願いだ。今は私に構わず、奴らを倒す事だけに専念してくれ」
彼は小さく、はい。と返事をすると、また刀を握りしめた。