「ママ、パパお願いがあるの!すぐにここから逃げて!ここは危ないわ…。もうすぐそこに化け物がいるの」
私はママに抱かれたままそう言った。
けれどママは、私を自分から引き離した。
「すまない、リズ…。それはできないんだ。ここは私達が建てた、思い出の詰まった家なんだよ…。それを手放す事なんて、私らにはできない」
パパが言った。
自分達の命が危ないのに、家が大事なんて…。
信じられなかった。パパがパパじゃないみたい。
「なんで!?……私はこんな家なんかより、ママやパパが大事なの!!ママとパパが生きてくれればそれでいいの!!!」
これが私の叫びだった。
それなのに2人は、ごめんね…としか言わない。
「……信じられない。なんで??なんでなの!?」
涙が止まらなかった。
親に捨てられた気分だった。
ママとパパが遠く感じる。
ママ……なんでパパを説得しないの?
パパ……なんでこんな時に微笑んでるの?

