「リズ、これが影だ。我々は今から、奴らと戦わなければならない…」



彼女は涙でいっぱいの目を、無理に見開いていた。





「ベシー様、ごめんなさい…っ!…私は一瞬、選抜兵の心得を忘れ、影を恐れてしまいました…」



彼女は悔しそうに、そう言った。


きっと知らなかったのだろう。影の恐怖を。




ここでは、兵士は戦いを放棄してはならない。



特に特攻隊ともなると、国から処罰されてしまう。




「…私も昔はそうだった。気持ちは充分分かるよ。…でも、だからといって、逃げていいとは言わない」




私はしゃがみ込み、彼女の手を握った。


とても震えているのが分かる。





「謝らなくていい。ただ、その代わりに、私たちの使命を果たしてくれ」




そう言うと、彼女は頷き、ぐっと下唇を噛み締めた。