挨拶を終え、1時間ぐらいで解散となった。




「ベシー様、お疲れ様です。素晴らしいご挨拶でしたね!」


ルーサーが私の所へ来てそう言った。


嬉しいのか…この気持ちが何なのか分からなかったけど、こんな笑顔で褒められて、嫌な気はしなかった。











「そろそろ昼食になさいませんか?」



本部棟から訓練棟に渡る間、ルーサーとクレイグは私の後ろを歩いていた。



もう、そんな時間か…。昼食の事をすっかり忘れていた。



「何が食べたい? 私が奢ろう」


「いえ!その必要はございません。僕の手料理などはいかがです?」



ルーサーの手料理…か。興味深い。



「そうか…じゃあ、頼む」


「はい。喜んで!」



後ろから聞こえる透き通った声に、若干ドキッとしてしまう。


これなら、何人もの女の子を虜にしてきた事だろう。












私達はルーサーに案内され、生活棟の彼の部屋の前に来た。




「どうぞ、お入り下さい! ちなみに隣の部屋はクレイグの部屋なんですよ」


入ってみると、そこは私の部屋と違って生活感のある部屋だった。



白ベースの家具がほとんどで、植物がたくさん置いてあった。


台所にもたくさんの調理器具に、見た事がない食材。



壁には絵が飾られていたり と、彼の家庭的な性格が見える。



「今から準備致しますので、少々お持ち下さいね〜」


どこかの店の店員のような彼の振る舞いに、呆気に取られていた。




とりあえず、目の前にある白いソファに、腰を下ろす。


すると、その横にクレイグが座った。


ちょっと距離が近い気がするけど…なんか変に意識してる自分が、1番変だな。





それより、隣に座っているクレイグは、何一つものを言わない。


もしかして彼は、内気な性格なのか?


いやあ……しかし、板の様に正された姿勢と、ただ一点を見つめる彼に、凛々しさを感じるのは私だけだろうか?





…まあ、どうでもいいな。考えてもキリがないんだから。











「ベシー様、クレイグ、出来ましたよ!」


ルーサーが運んできた大きな皿の上には、豪華なお肉がたくさん。


他には、さっきの見た事がない野菜のサラダに、パンプキンスープ などが綺麗に食卓に並べられた。



「どうぞ、召し上がれ」


私とクレイグは、小皿に自分の分をつぎ分けた。




「い、いただきます…」



ルーサーがジッと私を見ているから、とても食べにくい。


とりあえず、メインのお肉を食べてみた。