本部まで行く道は、結構長い。



「やあ、フロリオ君!わざわざ来てくれて、ありがとう!私は嬉しいよ!」



本部に着くと、ブラム兵長が、門の前に待ち構えていた。



「そ、そうですか… 頼まれた資料、持ってきましたよ」



反応に困ったが、仕事は果たした。



「頼もしいな。さすがフロリオ君!私の目は間違ってなかった!」



これくらい誰にだって出来るだろう、ブラム兵長…



「そうだ!少し世間話でもしていかないか?部屋に招くよ」



急なお誘いに少し迷ったが、昼間だし、別にいいかと兵長の部屋に入れてもらった。



初めて…いや、これで入るのは二回目くらいだが、やっぱり広い。



「さあ、腰掛けてくれ。紅茶で良いかな?」



「はい。ありがとうございます」



ブラム兵長が紅茶を持ってくるまで無言で待っていた。



「そういえば、選抜兵はどんな感じかな?」



兵長も椅子に腰掛けて、紅茶を一口飲んだ。



「とても面白い人ばかりですね。個性的というか…」



「あははっ!ずいぶん興味深そうだな。君にしては珍しい」



また大きな声で笑った。



「選抜兵は皆、十分過ぎるほどの力を持っている。だが、その中に要注意人物もいるんだ」



要注意人物?一体何の話だろう。



「もしかして、ハンナの事ですか?」


私は尋ねた。



「いや…それは私にも分からん。一人一人、抱えてるものがあるから、いつ何が起きるか分からんのだよ」



兵長は眉をひそめた。