ハンナの過去を知り、かなり同情してしまう。
彼女には迷惑かもしれないがな。
日が暮れて、自分の部屋に戻っても、ずっとその事が頭から離れなかった。
「苦しかったよな…」
人の死はたくさん見てきたのに、やっぱり不幸を聞くと悲しくなる。
私はそのまま、机にうつ伏せして寝てしまった。
コンコンッ
「おはようございます。ベシー様!」
私は扉の外から聞こえる、ルーサーの声で目覚めた。
「もう、朝か…」
私は慌てて支度をし、部屋を出た。
「ベシー様、おはようございます!」
すれ違う隊員は、挨拶を欠かさない。
とても気持ち良い朝だ。
訓練棟に着くと、もうそれぞれ訓練を受けていた。
しかし、私に気付くと、みんな駆け足で整列する。
私達三人は、高台から隊員を見下ろした。
「いつでも武器を持てるよう、今日も訓練に励んでくれ。私からは以上だ。解散!」
またみんなが散らばり、木刀を振り回したり、格闘の練習をしている。
「私は、今から本部に行ってくる。二人はここで、皆を見ていてくれないか?」
ルーサーとクレイグに話しかけた。
「そうですか、分かりました!」
ルーサーが元気よく返してくれたので、私はその場を離れた。

