しばらくしてひと段落つき、訓練棟に戻る。
「新しい選抜兵には、個性的な方ばかりでしたね」
ルーサーが後ろから声をかけてきた。
「ああ、そうだな。まあ…悪くはない」
思い出し笑いをしそうになったが、ここはグッと堪えた。
あんな可笑しな人達に会ったのは、初めてだから。
「はい。これから、もっと楽しくなりそうですね」
優しい声から、ルーサーが微笑んでいるのが分かった。
しばらく歩くと、兵士達の声が聞こえた。
皆、しっかりとトレーニングを行っている。
私はその光景を入り口から見ていた。
兵士の中には、マルコムとディランの姿があった。
「ウーーー…ぃヤッフォーーーイ!!」
意味不明な雄叫びと共に、木がバキッと折れる音が聞こえる。
これは他の誰でもない、マルコムだ。
マルコムは、教官の持つ木の板をキックして割っていた。
選抜兵は基本、その兵士の優れたところを伸ばそうという計画がなされていた。
マルコムの優れたところ……それはきっと、脚力だろう。
一方、その10m程離れた所にはディランがいた。
彼は、教官が振り回す木刀を素早くかわす訓練をしていた。
教官もなかなかの腕前で、1秒に5回くらいのペースで木刀を振りかざしていた。
あれは相当きつそうだ。

