キーンコーンカーンコーン...


1時間目のチャイムが鳴った

そして私は、今教室の扉の前まで来ている

私の頭の中では、そーっと扉を開けて入るか、普通に入るか迷っていた


「(そーっと入ったところでバレバレだし、でも何事もなかったかのように入ったら不良少女だと思われないかな..)」


根はとても真面目

そして優柔不断

教室の前でウジウジしていると、頭をぽんっと何かで優しく叩かれた


「何してんだ、白崎。授業はじまってるぞ!」


その声にビクッとして、ふり返る

生物の授業担当で2年A組担任の岡田先生だった

岡田先生は優しく、友達のように接しやすいことから、生徒からとても人気のある先生だ

じつは私も少し憧れていたりする


「あ、はい。すみません..」


そういえば1時間目は生物だった

岡田先生の授業だったことが今日一番ついている出来事かもしれない

少しホッとして、岡田先生に続いて教室に入った

そして何事もなかったかのように席に座る


「入学して1週間でもうこないのかと思った」


後ろからそんな声が聞こえた


「ごめんごめん、ちょっといろいろあって」


顔は前を向いたまま、筆箱からシャーペンをとりだし、芯を出しながら言った


「いろいろって言われたら気になるんだけど、さては男か!」


私は呆れ顔をして後ろをふり返った

後ろの声の主はニヤニヤしながら私を見ていた

そんな彼女の名前は瀬川 絵里


「あのねぇ、彼氏いない歴=年齢の人にそんなこと言う?」


私は呆れ顔を崩すことなく言い放った


「おいそこ、私語は休み時間に」


「す、すみません..」


後ろからクスクスと笑い声が聞こえた

私はムッとした顔を彼女に向けた

それでも絵里はニヤニヤしていて、少し気持ち悪いくらいだった

それと同時に、何かいいことがあったのだと悟った

私はムッとした顔を直し、また前を向いた

すると、コツンと机に何かが投げ込まれた

クシャクシャの紙を広げると、可愛らしい文字で
( 休み時間、話したいことある(´・ω・`) )
と書かれていた

私はその紙に、( ok!! (`・ω・´) )と書いて素早く後ろに投げ込んだ


後ろからガタッとイスの動く音がしたところから推測すると、おそらく届いてない

今日のことの仕返しだ!と思いながらも、ごめんね..と心の中で謝った