きみのふいうち


「……おまかせするけど」

「ん、わかったー」


ていうか、現地集合なわけないよね、コレ。

だって本気でお店決まってないっぽいもん。


どういうこと?

今日、サシなの?

まさかのサシ飲みなの!?

それとも後から人がたくさん集結するパターン!?


「あ、そうだ。俺、前から一回行ってみたいと思ってた居酒屋があるんだけど、そこでもいい?」

ふと思いついたように言った暁くんに、わたしは混乱しながらも頷いた。


今まで数えきれないくらい、暁くんとはこうやって仕事終わりに飲みに出かけたことはある。

暁くんのことが好きだと自覚してすぐのころは、大勢でやる飲み会すら緊張していたけれど、今はそんなこともなくなっていたのに。


……もしかして、ふたりきりかもしれない。


普段の彼女想いの暁くんなら絶対ありえないのに、もしかして、という可能性が閃いてしまってから、ドキドキとさっきよりも強く心臓が脈打っているような感覚に、おかしくなってしまいそうだった。