「じゃあ、わたしこっちだから。またね」
分かれ道に差し掛かり、わたしは立ち止まって手を振った。
すると桐原くんも足を止め、小さく首をかしげてわたしを見る。
そして少し考えたあと、合点がいったようにひとり頷いた。
「……あ、そっか。花南は歩いて帰るんだっけ。ここから近いの?」
「うーん、20分くらいかな」
わたしがそう答えると、桐原くんは大して興味もなさそうに、へー、と適当な相槌。
「ちょっと桐原くん、どこ行くの? そっちじゃないよ」
ふいに方向転換をしたかと思えば、桐原くんはすたすたと駅とは違う方向に歩き出してしまう。
終電まではまだだいぶ時間があるとはいえ、あまり本数のある路線ではないみたいだし、早く駅に向かったほうがいいと思うんだけど……。


