そうだよ、暁くんは好きになってもつらい人、だ。
こんな気持ち、知られても同情されるだけ。
あんな美人な彼女に勝てるわけないし。
そもそも、地味で何の取り柄もないわたしが暁くんみたいなモテる人を好きにこと自体、おこがましいことだ。
「……ふーん。まぁ、花南がそう言うならそういうことにしとくけど」
「なにその上から目線」
明らかに信じていない口調の桐原くんだったけれど、これ以上追求されることはなさそうな言葉に、思わず安堵の息を吐いた。
「……ま、でももし好きなんだとしてもそんなに悲観する状況じゃないと思うけどな」
「は……?」
どう考えても悲観しかできないでしょ。
何意味がわからないことを言ってるのこの人、とわたしが眉をひそめたのを見た桐原くんには、おそらくわたしの心の声が読めたのだろう。
可笑しそうに軽く笑うと、ジョッキに残っていたハイボールを飲み干して、「そろそろ帰るか」と腰を上げた。


