「仕事のメール?」
「それもだけど、……花南さんのこと待ってた。一緒に戻ろうと思って」
暁くんはそう言うとスマホをポケットにしまった。
同じ場所に帰るんだし、一緒に、と言ってもらえることは別に特別なことじゃないと思う。
きっと今までだってそうしてくれてた……はず。
わかっているのに、わたしったら全然ダメだ。
時折見せる今までとは違う暁くんをどうしても意識してしまって、暁くんの今の発言がいつもどおりのものなのかどうなのかさえ判断がつかなくなってしまっている。
自分の頭の中が全然整理できない。
もしかしてわたしだから待っていてくれたのかな、なんて思い上がった考えが頭に浮かび、また好きの気持ちが大きくなってしまう。
そんなふうに、勝手にどんどん膨らんでいく自分の気持ちが怖い。
「えっと、うん、一緒に帰ろ」
結局、自分の頭も心もごちゃごちゃしたまま、そんな自分に戸惑いながらも笑顔を作って暁くんのところまで歩みを進める。
今日はずっと、どこかぎこちなかったような気がしていた。
だけど、こんなふうに待っていてくれたということは、それはわたしの思い過ごしだったのかな。


