目が合ったくらいでドキドキしていたら、心臓が持たないよ。
ただでさえ、もうすぐ自分の出番で緊張しているのに。
「……」
わたしは、もう絶対に暁くんの方は見ないように心に決めた。
それから着々と順番は近づいてきて、いよいよわたしの番。
だけど、思ったより舞い上がったりはしなかった。
緊張して頭が真っ白になることもなかったし、真剣なまなざしでわたしを見て、そしてしっかり話を聞いてくれている受講生の顔を見ながら準備していたとおりに話をすることができて。
暁くんのように、たまに笑いを織り交ぜるような高度なことはできなかったけど、それでもわたしの話が終わった後は暁くんの話の後と同じように暖かい拍手が起こって、心の中で大きく安堵の息を吐く。
「!」
一歩前に出ていたところから元いた場所に戻る途中。
偶然にも再び暁くんと目が合った。
……暁くんの方は見ないって決めたのに!
一瞬そんな思いが頭をよぎったけど。
もう自分の発表は終わったし、いっか。
あっさり思いなおしたわたしは、優しく微笑んでくれていた暁くんにニッコリと笑みを返した。


